生まれて初めて長ネギを買った

生まれて初めて長ネギを買いました。

 

皆さんは長ネギを買った経験はございますでしょうか?

僕は20歳の5月になるまで買ったことがありませんでした。ほんとについさっき、長ネギを買ったのです。

 

僕の人生は長ネギとは無縁でした。生まれてから母に長ネギのおつかいを頼まれたことは一度もありませんでしたし、料理する際に長ネギを使う時も常に冷蔵庫に長ネギがあったため自分で買いに行く必要もありませんでした。一人暮らしが始まってからも、僕の自炊に「長ネギ」というワードが出てくることはありませんでした。

 

そんな僕に転機が訪れました。

 

「角煮がつくりたい...!」

 

先日の夜、Twitterで角煮のレシピがバズっているのを見て無性に角煮がつくりたくなったのです。よし今日の夕食は角煮にしよう。

業務用スーパーにてブロック肉を買い、ルンルンで料理に取り掛かっている時。

 

ハッ!!!

 

長ネギ!長ネギが必要だったのか角煮には!

そんな...長ネギを買わなくてはいけないのか...

 

仕方がない、業務用スーパーに買いに行くとしよう。

 

8時40分、僕は業務用スーパーの野菜売り場にいた。

目の前には例の「長ネギ」がいた。

 

恐い!!長ネギを買うのが怖い!!!

 

よく考えたらスーパーで長ネギをよく観察したことはなかった。

長い、長ネギってこんなに長いのか。そりゃあ名前に「長」がつくわけだ。

しかもこの長ネギ、デカい。普通にチンゲン菜の茎くらいあるじゃないか!

 

まさか業務用スーパーでめまいを起こすとは思わなかった。

 

本当にこれを買わなくてはいけないのか...?

 

あ!!!

 

「細ネギ(98円)」

 

神はいた。これだ、これを買えばよいのだ。

長ネギ(178円)より安い、小柄、緑の面積も申し分ない。

ああそうだ、これを買えばよかったのだ。僕は細ネギに手を伸ばす。

 

ピタッ

 

本当に?本当にそれでよいのだろうか?

否、それは逃げではないのか

 

それはまるで、初めてのブランドの店で値段で血迷ってそんなに欲しくないほうのデザインのカバンを買ってしまうように、

それはまるで、20歳の誕生日にビビッて度数のひっく~いお酒を飲むように、

人生の「初めて」という経験をどうしようもない灰色に塗りつぶしてしまう愚行ではないだろうか?

 

そうだ、僕は...「長ネギ」を買わなくてはいけないのだ。

 

危なかった、危うく自分の目的を見失うところだった。僕は長ネギを手に取りレジへと向かった。

 

店員に「レジ袋はどうなさいますか?」と聞かれた

 

やれやれ...そんなの決まっているじゃないか...

 

「いりません」

 

僕は長ネギ...いや、勇者の剣を手に店を出た。

まってろ角煮...ラスボスは倒した。後はエンディングを見るだけだ。

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勇者の剣

 

 この後、角煮の調理に3時間以上かかることをこの勇者は知らない。